エンジェル投資家とはどういった存在か

最終更新日 2023年12月20日

エンジェル投資家は名前のように、起業家からしてみると天使のような存在にみえる投資家のことで、個人でなおかつ裕福という特徴を持ちます。
欧米では単にエンジェルやビジネスエンジェルともいいますが、創業して間もない起業家に対し、ビジネスに必要な出資を行うことポイントがあります。
創業したばかりの起業家は、当面の資金を集めることが課題になりがちですが、そこに手を差し伸べるのがエンジェル投資家というわけです。

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エンジェル投資家が求めるもの

勿論、投資家である以上は慈善事業ではないですから、出資に見合う見返りを求めます。
具体的には株式、あるいは転換社債といったもので、将来的に企業価値が上がることで利益がもたらされるものが見返りに当てはまります。
当然ですが裕福な個人も資産が無限にあるわけではないので、どこに出資するか吟味した上で投資先が決められます。
選ばれるのは他に見られない面白いビジネスだったり、将来性に期待できる注目度の高いビジネスです。
結局のところ出資先の選択や出資するかどうかについては、裕福な個人の判断によるところが大きくなります。
つまり、個人的な趣味や興味で投資を決める人もいないとは限らないです。
中には気まぐれで出資ということもありますから、こういう投資家に出会える起業家はラッキーだといえます。

エンジェル投資家の立ち位置

元々は英国において演劇に出資する裕福な個人を指す言葉がエンジェルでしたが、近年は演劇以外の事業でも広く用いられるようになりました。
エンジェル投資家の立ち位置は、家族や友人などからの出資を受ける人と、ベンチャーキャピタルなどから出資を受ける人の間を埋める存在となっています。
いくら信用のある個人でも、家族や友人にお願いして1,000万円を超える資金を集めるのは至難の業です。
逆にベンチャーキャピタルは1億円以上の資金提供が基本ですから、この間を埋める存在が必要不可欠です。
裕福な個人は1,000万円超から1億円未満の資金を必要とする起業家に対し、出資を模索したり投資を検討する存在です。
この規模の資金を必要とする起業家は、スタートアップ企業に多いですから、丁度両者の希望が合致する形として成立します。

欧米においてはエンジェル投資家の活躍が目覚ましい

欧米においてはエンジェル投資家の活躍がめざましく、起業を支える存在として既になくてはならないと言っても過言ではないです。
特に投資が盛んなのは医療とヘルスケアで、バイオテクノロジーやソフトウェア開発も負けていないといえるでしょう。
言うまでもありませんが、スタートアップ企業が成功するかどうかは未知数の部分が多く、投資家にとっては一種の賭けになります。
この為、投資先にはリスクに見合う収益を実現するように求められます。

仮にもし倒産となれば出資は無駄になりますし、得られるはずの利益がもたらされなくなりますから、エンジェル投資家が要求する収益のハードルは非常に高くなりがちです。
一般的には投資額の10倍のリターンが、5年以内に成功する見込みのある企業が投資先に選ばれます。

海外のベンチャー企業に買収が多い理由

収益を確定する方法としては、株式の公開や他社による企業買収が挙げられます。
海外のベンチャー企業に買収が多いのは、このような投資家の存在や事情があるのが理由の1つだと分かります。
エンジェル投資家は総じて裕福なわけですが、誰もが最初から莫大な財産を贈与などで受け取ったわけではなく、現役時代に起業をしたり経営で成功した人が少なくないです。
起業家に理解を示すことができるのは自らも起業家、もしくは経営者としての経験があるからで、必ずしも合理的な出資ばかりではないのはここに理由があります。
利益だけの追求ならもっと確実で、リスクを冒さない方法があるでしょうが、元起業家や元経営者は純粋に新しい起業家やビジネスに興味を持って投資をする傾向です。
例えば自分が持っている人脈を活かして若い起業家をサポートしたり、経験やノウハウに基づくアドバイスをしたいという願望があります。

投資家と起業家をマッチングするサービスも既に登場している

こういう願望を満たすこともまた、出資を考えたり投資を決める理由になり得ます。
そういった意味では純粋な投資家とは違うかもしれませんが、幅広く起業家やスタートアップ企業を支える存在なのは間違いないです。
日本は欧米の後を追う形で言葉が広まったり、ようやく定着し始めましたが、投資家と起業家をマッチングするサービスも既に登場しています。
日本にもベンチャービジネスで成功した経営者は多く、そのいずれも大きな資産を形成して存在感を示します。
このかつての経営者が投資家に転向して新たなビジネスをサポートするという流れは、日本のベンチャービジネスにおいて重要性が高いです。

まとめ

投資家にとってはベンチャー企業を育てて将来の収益に期待できますし、起業家は出資と経営支援を受けてビジネスを軌道に乗せたり成功を目指せます。
つまりウィンウィンの関係になれるかどうかが出資のポイントで、マッチングサービスは双方を結びつける役割を担っています。

 

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増田裕介